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待機児童問題だけじゃない!?『ブラック保育園のリアル』から見る保育業界の問題点

著者:GMCブランド戦略室

「保育園落ちた日本死ね」

過激な表現ですが、インターネット上に投稿されたこの一言が今、保育業界、ひいては日本政府にまで影響を及ぼし話題を呼んでいます。

発端としては、保育園に子どもの入園申し込みをしたものの落選してしまったブロガーが、匿名のブログに待機児童問題に対する憤りのメッセージを掲載したことに始まりますが、この匿名ブログの余波を受けて、FacebookやTwitterなどのSNS上には「学童保育」に申し込んだのに入れなかったという母親たちの悲鳴が数多く発信されました。

この反響の大きさから、国会の衆院予算委員会で取り上げられることとなり、安倍首相がこの問題に関してコメントを発表するまでの事態になりました。

この騒動をきっかけに、保育園開園を抑制することとなっている自治体の制度など教育業界の様々な問題が改めて浮き彫りになっていますが、保育業界では保育園不足による待機児童問題だけではなく、実は入園後の児童保育に関しても様々な問題点を抱えているようです。



保育の現場に潜むリスク

2016年2月12日に出版された事故と事件が多発する ブラック保育園のリアルでは、保育の現場に潜むリスクについて解説をしています。

バブル崩壊後の1990年初頭より共働きの世帯数は増加し、働く母親の保育園へのニーズは高まっていますが、保育児童の怪我や死亡事故などがテレビや新聞などでもたびたび報道されているように、保育園は”リスクが集中する場所”であり、「保育園では子どもは安全」と安直に考えるのは危険なことなのです。

保育園の抱えるリスクとしては、大きく分けて以下の四つです。

・待機児童を減らすための「詰め込み保育」
本来保育園は預かる児童の数を減らした方がリスクを減らすことができますが、待機児童解消のため、過密状態にあっても受け入れる児童数を増やさざるを得なく、管理リスクを高めることとなっています。

・厳しい労働環境を背景にした「保育士の著しい質のバラつき」
すでに多くのメディアが伝えていますが、保育士の労働環境は非常に厳しい状態にあります。専門職でありながら一人あたりの賃金が安く、激務である現場が多いため離職する人も多く、保育サービスのレベルを均一に保つのが難しくなっています。

・いつ重大事故が起きてもおかしくない「危うい保育環境」
保育園での事故の原因として多いのは遊具などの設備の老朽化ですが、施設が新しいからといって安全とは言い切れないのが現実です。児童の様子をいつでも観察できるような設計になっているのか、不審者対策や災害対策がしっかり行われているのかを注視する必要があります。

・保育士による「虐待やネグレクト」
厳しい労働環境からくるストレスなどから、児童に対しての虐待や保育業務の放棄、いわゆる”ネグレクト”をしてしまう保育士もいます。また、人材の不足から、保育業務に問題のある保育士を解雇できない保育園も存在しているのが実情です。



業界の問題解決に向けて求められること

これらのリスクを回避するためにまず必要なのは、子どもの命をあずける保護者の意識です。いたずらに保育園に対して不信感を頂く必要はありませんが、子どもの保育を”保育園まかせ”にせずに、保育の実情に関心を持ち、積極的に関わろうとする姿勢が必要です。

そして今、保育業界に求められているのは問題を解決しようというアクションです。業界の問題に目を向け、深堀をし、解決に必要なことを人々に知らしめる。そして解決のための働きかけを一時的な流行りではなく、長期的なムーブメントとして定着させていくことが、知見を持つ専門家や業界関係者に求められています。

 

幻冬舎メディアコンサルティング

太田 晋平

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